平川市市街化調整区域における地区計画の運用方針
(平成21 年10 月1 日策定)
1 策定目的
現行の都市計画法では、市街化調整区域においては地区整備計画を定めた地区計画に適合する場合は、開発許可が可能となっています。
しかし、市街化調整区域における開発は、「市街化を抑制する区域」という、市街化調整区域の基本理念に多大な影響を及ぼすことから、開発計画の適否を検討するにあたり、他の都市計画の施策とも、整合を図りながら地区計画の運用方法
を整理する必要が生じています。
この運用方針は、本市の将来像を実現するとともに、秩序ある土地利用の誘導や開発計画の確実な実施の担保性を確保するという観点から、国の都市計画運用指針を踏まえ、市街化調整区域における地区計画を用いた開発許可の運用方法等を示すものです。
2 運用方針の位置づけ
(1) | 策定にあたっては、本市の地域性を考慮しつつ、上位計画および「平川市市街化調整区域の整備および保全の方針」と整合を図り策定しました。 |
(2) | この運用方針は、本市の市街化調整区域における地区計画の運用に係る基本的な方針をまとめたものであり、本市の市街化調整区域において地区計画を策定する場合の判断基準のひとつとなるものです。 |
3 市街化調整区域における地区計画の基本的な考え方
(1) | 「市街化を抑制すべき区域」という市街化調整区域の基本理念は、地区計画の策定によってその性格が変わるものではない。 |
(2) | 開発行為を伴う地区計画については、いたずらに市街地を拡大しないよう、その必要性、周辺の公共施設の整備状況、農業振興や自然環境・景観との調和等の観点から総合的に検討し、妥当と認められるものであること。 |
(3) | 地区計画は、「スプロールの防止」、「周辺の優良な農地等とも調和した良好な居住環境の形成や保全」、「地域コミュニティの維持・増進」、「地域活力の維持・増進」に寄与するものであること。 |
(4) | 必要となる基盤施設が地区計画の策定区域内やその周辺に配置された又は配置されることが確実であり、かつ、新たな行政投資を行う必要がないこ と。 |
(5) | 本市の上位計画に即し、計画的に行われるものであること。 |
(6) | 青森県が定める「市街化調整区域における地区計画の同意の方針」に即していること。 |
4 地区計画の対象外区域
次に掲げる区域は保全する区域とし、策定区域に含めないこと。ただし、地区計画決定までに区域又は地域の指定が解除されることが確実と認められる場合にはこの限りではない。
(1) | 農業振興地域の整備に関する法律に規定する「農用地区域」 |
(2) | 農村地域工業等導入促進法に規定する工業等導入地区 |
(3) | 農地法による農地転用が許可されないと見込まれる農用地 |
(4) | 史跡、名勝、歴史的建造物の指定文化財、その他国、県および市において文化財保護上保全を必要とする区域 |
(5) | その他、他法令による規制がなされている地域で地区計画を定めることが適当でないと認められる区域 |
5 地区計画の対象区域
地区計画は、次に掲げる項目のいずれかに該当するものでなければならない。
(1) | 「市街化区域に隣接した区域で、すでに無秩序な市街化が進んでいる又は進むおそれのある区域」(以下、「市街化区域隣接型」という。)で、それらを良好な土地利用環境に誘導することを目的とするもの。 |
(2) | 「既存集落およびその周辺部で、基盤施設を有効に活用できる区域」(以下、「既存集落隣接型」という。)で、良好な環境の形成を図ることを目的とするもの。 |
(3) | 「2車線以上の幹線道路又は、これと同等以上とみなされる道路沿道の交通環境と調和が図られる区域」(以下、「幹線沿道型」という。)で、優位な交通機能や集客性を活かし、地域経済の活性化等を目的とするもの。 |
6 地区計画の区域設定
地区計画の区域設定に関する基本的な基準は以下のとおりとする。
(1) | 地区計画の区域の面積は、0.5ヘクタール以上とする。 |
(2) | 地区計画の区域の範囲は、街区を形成する一定の広がりを有し、かつ、近隣の地域社会を形成することができる規模であること。 |
(3) | 地区計画の区域界は、道路その他の施設、河川その他の地形、地物等により、明確かつ恒久的に区別されるものにより定めること。ただし、これにより難い場合に限り、筆界、距離表示等により区域ができる限り整形となるよう定める。また、必要以上に区域を広く定めないこと。 |
(4) | 地区計画の区域の周辺においては、円滑な交通を確保することができる道路、十分な流下能力を有する |
7 地区計画策定における留意点
(1) | 地区計画の素案は、原則として当該地区内において開発行為を行おうとする事業者、土地の権利者もしくは地元組織が主体となり、関係機関と協議のうえ作成すること。 なお、市の地区計画担当部署は素案の作成について、指導又は助言をすることができる。 |
(2) | 地区計画の素案は、隣接又は近接する地区計画との調整が図られていること。 |
(3) | 地区計画を定めることにより、当該区域内の土地利用について一定の制限が課せられることから、素案の検討段階から住民参加の機会を設け、住民意見の反映に努めること。 |
(4) | 地区計画の素案の内容については、当該区域内の関係権利者全員の同意を得ていること。 |
(5) | 道路、公園、調整池等の地区施設については、都市計画法第33条(技術基準)、平川市開発指導要綱のほか、各関係法令等により適正な配置や機能を確保すること。 |
(6) | 周辺住民の良好な住環境と生活利便性の維持・増進のため、周辺環境に配慮した地区計画とすること。 |
8 関係機関との協議
(1) | 地区計画の素案の作成にあたっては、市の地区計画担当部署と十分な協議および調整を行うこと。 |
(2) | 開発行為を伴う地区計画においては、別に開発許可の要件を満たす必要があることから、市の開発担当部署と事前協議を行い、開発許可の事前審査を完了しておくとともに、道路、河川、公園、その他の公共施設管理者とも事前協議を行い、当該管理者の同意を得ておくこと。 |
(3) | 地区計画の区域内に農用地が含まれている場合は、農地転用が必要となることから、農業委員会等と事前協議を行い、農地転用許可の事前審査を完了しておくこと。 |
(4) | 上記(1)、(2)、(3)に掲げる協議のほか、各関係機関との協議および調整を密に行い、その内容の充実に努めること。 |
9 地区計画の内容
地区計画には、地区計画等の種類、名称、位置およびその区域のほか「整備、開発および保全に関する方針」並びに「地区整備計画」を定めるものとする。
10 「整備、開発および保全に関する方針」に定める事項
当該地区のまちづくりの基本的な方向を示す総合的な方針として、次に掲げる事項について定めるものとする。
(1) | 地区計画の目標 |
(2) | 土地利用の方針 |
(3) | 地区施設の整備の方針 |
(4) | 建築物等の整備の方針 |
(5) | その他、当該地区の整備、開発および保全に関する方針 |
11 「地区整備計画」に定める事項
地区計画の目的を達成するため、次に掲げる事項のうち、必要な事項を定めるものとする。
(1) | 地区施設に関する事項 |
(2) | 建築物等に関する事項 ア 建築物等の用途の制限 イ 建築物の容積率の最高限度 ウ 建築物の建ぺい率の最高限度 エ 建築物の敷地面積の最低限度 オ 壁面の位置の制限 カ 建築物の緑化率の最低限度 キ 建築物の高さの最高限度 ク 建築物等の形態又は色彩その他意匠の制限 ケ 垣又はさくの構造の制限 コ 工作物の位置の制限 |
(3) | 土地の利用に関する事項 |
12 地区施設等に関する事項
地区施設等については、地域利用者の利便性、敷地形態、周辺道路況等を勘案のうえ、「平川市開発指導要綱」の基準と同等以上であること。
13 建築物等に関する事項
建築物等については、市街化調整区域におけるゆとりある良好な都市環境の維持および増進を図るため、「地区計画の対象地区」の類型に応じ、次のように定める。
ただし、区域内の既存建築物等やその敷地については、これらのすべてを適応除外とすることができる。
(1) | 「市街化区域隣接型」 ア 建築物の用途は、原則として建築基準法別表第2(い)第1号から第3号に掲げる建築物およびこれらに付属する建築物とし、周辺の土地利用を考慮し、適切な用途制限を設定する。 イ 容積率の最高限度は、200%以下の数値で適切に定める。 ウ 建ぺい率の最高限度は、60%以下の数値で適切に定める。 エ 敷地面積の最低限度は、200平方メートルとする。 オ 壁面の位置の制限は、必要に応じ適切に定める。 カ 建築物の緑化率の最低限度は、敷地面積の3%とする。 キ 建築物の高さの最高限度は、10m以下の数値で適切に定める。 ク 建築物等の形態又は色彩その他意匠の制限は、周辺環境および景観等との調和が図られるよう定める。 ケ 垣又はさくの構造の制限は、緑地の現況、地区の特性を考慮し、周辺の環境および景観との調和が図られるよう定める。 コ 工作物の位置の制限は、必要に応じ適切に定める。 |
(2) | 「既存集落隣接型」 ア 建築物の用途は、原則として建築基準法別表第2(い)第1号、第2号に掲げる建築物およびこれらに付属する建築物とし、周辺の土地利用を考慮し、適切な用途制限を設定する。 イ 容積率の最高限度は、100%以下の数値で適切に定める。 ウ 建ぺい率の最高限度は、60%以下の数値で適切に定める。 エ 敷地面積の最低限度は、300平方メートルとする。 オ 壁面の位置の制限は、必要に応じ適切に定める。 カ 建築物の緑化率の最低限度は、敷地面積の3%とする。 キ 建築物の高さの最高限度は、10m以下の数値で適切に定める。 ク 建築物等の形態又は色彩その他意匠の制限は、周辺環境および景観等との調和が図られるよう定める。 ケ 垣又はさくの構造の制限は、緑地の現況、地区の特性を考慮し、周辺の環境および景観との調和が図られるよう定める。 コ 工作物の位置の制限は、必要に応じ適切に定める。 |
(3) | 「幹線沿道型」 ア 建築物の用途は、原則として非住居系用途を基本に、営農環境等の周辺に影響を与える可能性のある用途については制限を行い、周辺の土地利用を考慮した適切な用途制限を設定する。 イ 容積率の最高限度は、200%以下の数値で適切に定める。 ウ 建ぺい率の最高限度は、60%以下の数値で適切に定める。 エ 敷地面積の最低限度は、500平方メートルとする。 オ 壁面の位置の制限は、必要に応じ適切に定める。 カ 建築物の緑化率の最低限度は、敷地面積の3%とする。 キ 建築物の高さの最高限度は、周辺環境および景観との調和が図られるよう定める。 ク 建築物等の形態又は色彩その他意匠の制限は、周辺環境および景観等との調和が図られるよう定める。 ケ 垣又はさくの構造の制限は、緑地の現況、地区の特性を考慮し、周辺の環境および景観との調和が図られるよう定める。 コ 工作物の位置の制限は、必要に応じ適切に定める。 |
14 事業の実施
(1) | 事業者は、地区計画が定められた日から、原則として1年以内に事業着手すること。 |
(2) | 地区施設等の整備については、各関係機関と十分な打ち合わせのうえ、事業者が行うこと。 |