(注)ひらかわ市民新聞の記事は、「市民記者養成講座」受講生が平川市民記者として取材・作成したものです。
また、掲載内容は取材当時のものです。
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尾崎地区に伝わる「神岩」
2019年1月9日
みなさん平賀地域尾崎地区にある「神岩(かみいわ)」をご存じだろうか?
その岩は、白岩森林公園に向かう手前にある「薬師のシツコの看板」の左側に、もとは田んぼだという草が生い茂った場所の真ん中にある。高さ約110センチ、周囲約515センチ、重さ約750キロの大岩である。
よく見ると大岩に人の足跡をしたくぼみのようなものがあり、この足跡こそが「神岩」の由来。話は鎌倉時代にさかのぼる。
尾崎地区の山で山伏が修行に励んでいたところ、急に霧が立ち込めてきて目の前が見えなくなったという。そこに草枕をしたところ、夢に白い着物を着た神様が現れ、「自分が入るお社がないので、あの遠く離れた川向の岩に飛び降りたという証をみたら、お社を作ってほしい」と言われたそうだ。霧が晴れて、山を下り、岩を見に行ったところ、本当に足跡がついていて、それが現在の場所に残っている大岩であるという言い伝えである。
「神岩」近影
現場を確認したところ、足跡のくぼみをはっきりと確認することはできなかった。しかし、山の上から岩までは、12~13メートルの高さがあり飛び降りることは考えられない。この岩の成り立ちはまさに「神がかっている」と、感じた。なお、20数年前までは足跡がはっきりと確認できたという。また、この不思議な体験をしてお社を建立した山伏が、尾崎地区で歴代宮司を務めている石山家の初代嘉昌院と言われている。
(記:市民記者 稲葉佑太)
「まるでヨーロッパ」なオープンガーデン
2019年1月9日
「インスタ映えする」とSNSで最近話題になっている場所があると聞き、潜入してきた。その場所には『OPEN GARDEN』と書かれた看板があり、小路を曲がると、コスモス畑に囲まれたまるでヨーロッパのような建物と庭があった。
運営者の大澤浩明さんは長く弘前に住んでいたが、2000年に小学校の頃に住んでいた平賀地域へ移り住んだ。偶然ホームセンターで安売りされていた3本のバラを植え、見事な花を咲かせたことがきっかけで、薔薇の庭づくりを始めたという。
口コミから広がり、庭を訪れる人が増え、安全面の不安から閉園を考えたこともあった。しかし、ファンから「辞めないでほしい」という要望などがあり、2017年には職場を早期退職し、庭づくりを本格化。「近所の人でも『こんな場所があったんだ』と驚いたり、リピーターが増えたりもしている」と大澤さん。将来は白いガゼボ(洋風東屋)を建て、庭をさらに広げて、訪れた人の生活が少しでも豊かになり、笑顔になってもらえる空間を作りたいと夢を語る。
園内には樹齢約400年の梨の木や青森県最大級の栗の木もあり、四季折々の花々も楽しめる。大澤さんの庭は、笑顔あふれる「平川」を作っていくと感じた。
【OPEN GARDEN】
平川市町居山元314
営業時間 10時~16時
冬期は閉園。ローズシーズンは5月末から
※500円の寄付でコーヒーを提供
☎090-6780-6993(大澤)
(記:市民記者 畳指謙自)
かわいい亀?竜?が描かれているこて絵
2018年10月10日
平賀地域大光寺地区にある農家蔵に、中世ヨーロッパのローマ風建築、教会、修道院などにある柱頭装飾を思い起こさせるものがある。今回紹介する蔵の外壁に描かれた荒波と亀の一風変わった「こて絵」がその装飾である。
「こて絵」とは左官職人がコテを用いて描いた日本独特のレリーフ(浮き彫り)のこと。鶴や亀などの長寿を願うものや厄除けの願いをこめた、例えば火災除けの波模様などの題材を、左官職人が施工主へ感謝の意を込めて作成する事が多かったそうである。
この「こて絵」は勢いのある荒波の間に亀が甲羅からひょうきんな表情をのぞかせ、尾の無数の毛は一本一本細かく描かれている。左官職人の技術の高さだけでなく、芸術的表現力も感じ取ることができる。
蔵の所有者である対馬睦子さんは、「平成3年の台風の時、土蔵の屋根が剥がれて修理したが、すでに使うことがなくなっていたので壊すことを考えはじめている。蔵の装飾が素晴らしいと言われるが、維持することにお金がかかり、必要のなくなった蔵まで維持しきれない」とその心境を話す。
平川市在住の郷土史家・鎌田美春さんによると、「先先代の対馬健一さんが明治中期ごろに建てたもの。当時、対馬家では2棟の蔵を持っていて、今はない蔵にも同じような『こて絵』があった。中には冠婚葬祭に使う食器などが保管されていたと言われ、(当時)部落長だった健一さんは地域の人たちに自由に使わせていたという話も残っている」という。
年月をへて、「こて絵」に関心を寄せる人も少なくなり、人々の目にあまり留まらなくなっているが、亀の表情は当時の空気感を伝えているような出来栄え。左官職人の技は、今でも私たちに感動を与えてくれるのではないだろうか。
(記:市民記者 大川けい子)
アップルランド大観音像のなぞ
2018年2月1日
平川市民であれば、日常の中で何気なく目に入ってくるアップルランドに佇む観音像。なぜあの場所にあるのかご存知だろうか?
アップルランドの営業担当で入社12年目のベテラン・一戸聡志さんによると、正式名称は「りんご大観音像」といい、1983(昭和58)年建立、高さ約16m、総工事費約1億円とのこと。制作したのは、戦後初の大仏を制作した平安美術研究所(所在地:兵庫県、現・株式会社平安美術)。観音像を建てたのには、「リンゴの運搬中に交通事故により命を落とした女婿の供養」「交通安全への悲願」「リンゴの豊作祈願をするため」という初代社長の葛西甚八氏の願いが込められているという。
観音像がリンゴを掲げている理由に納得したところで、実は台座の中にも入れるんだとか。十二支別の守り本尊・子安観音が安置されており、参拝すると、良縁・子宝・安産・健康・長寿・大願成就を賜ることができると一戸さん。最近は、台湾ドラマのワンシーンに使用されたり、海外の旅番組等に取り上げられたりと、国内のみならず国外での人気も出てきている。
市民の知る人ぞ知るパワースポットのような存在であるりんご大観音像。無料で見学や参拝をすることもできるので、この機会にアップルランドまで足を運んでみてはいかがだろうか?
(記:市民記者 稲葉佑太)
農家蔵と古代ギリシャ建築の装飾の調和
2018年2月1日
尾上地域金屋地区には78棟の農家蔵が群立しており、周囲の生垣や庭園と調和して美しい農村景観が形成している。その中に、古代ギリシャ建築の独立円柱にとてもよく似た装飾の蔵があった。
蔵の装飾は、古代ギリシャ建築における建築様式(オーダー)のひとつであるイオニア式に似ており、ドリス式・コリント式とならんで主要な様式(オーダー)に位置づけられる。イオニア式は、渦巻き型の柱頭と細身な柱で構成され、優美で女性的な印象が特徴だ。
蔵の所有者である小野長道さんによると「元々は尾上地区に建っていた蔵を、約50年前に現在の場所に移築してきた。当初から柱の装飾はされているようだった。移築直後に近所の左官会社などの手により仕上工事を行い完成となり、現在の姿になった。自身が中学校の頃の出来事で、当時の様子を覚えている」と話す。
金屋地区の農家蔵群では、今年はすでに終わってしまったが、毎年1月下旬に国登録有形文化財に指定されている蔵がライトアップされるイベントが一日限定で開催される。平川市でしか見ることができない、雪景色のなかに照らされる農家蔵と古代ギリシャ建築の装飾の調和を楽しむことができる。
(記:市民記者 松田公平)
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